国産のパン用の小麦粉の特徴とメリットとデメリットについて

国産のパン用小麦粉には、以下のような特徴があります。


もちもちした食感

国産の小麦粉(強力粉)は、小麦タンパクのグルテンが少ないため、パンを作るとお米のようなモチモチ感が出やすいです。
(モチモチのパンの方が好きな方は、むしろ国産小麦の方が良いかもしれません)

一方、外国産の小麦粉は、小麦タンパクのグルテンが多いため、パンサクサク・ふわふわになりやすいです。
(特に外国産の春蒔き小麦)



膨らみが弱い物が多い

グルテン(タンパク質)が少ないので生地の伸び具合が弱く膨らみが悪いパンになります。

ただし、新しい国産のパン用の小麦粉の中には、まるで外国産品種のようにグルテン量が多く、フワフワに膨らむものもあります。



ブレンド物の国産小麦は安め

国産小麦は、国産米と同様、小麦の銘柄で価格が変わるものが多いです。

銘柄ごとに人気や品質にバラつきがあるので、かなりの価格差が出ています。
(農家や地域農協の人にとっては、一攫千金のチャンス(人気銘柄を作って高値で売るチャンス)でもあるので、各地で「ぜひ我が町から一級のパン用小麦粉を」と、熱が入っている様子が伺えます)

ですので、グルテン量の多い人気の品種『 単品 』で販売されているものは高いです。

例えば、『 春よ恋 』
(春蒔き小麦なので、この名前になっているようです)


春植えの春蒔き小麦と、秋植えの秋蒔き小麦の違いについて


これは、国産小麦粉の中ではずば抜けてグルテン量が多く、味や風味も良いので大人気銘柄になっています。

でも、春よ恋単品だと価格がかなり高いので、他の国産品種と混ぜて(ブレンドして)、安くで売られています。

ただし、やはり混ぜ物は混ぜものクオリティなようで、春よ恋単品で作ったパンと、ブレンドものでは『 食感や風味にかなりの差 』が出てしまいました。(;´_`;)
(『ブレンドものは、所詮ブレンドもの』として考えておいた方がよいかもです)



小麦の銘柄によって価格も味もピンきり

お米でもそうですが、小麦も銘柄によって食感や味や価格がピンきりです。

特に問題になるのがグルテンの量です。

国産のパン用の小麦粉(強力粉)のグルテンの量が、銘柄によってかなりの差があるのです。

あるものは外国産の強力粉並のグルテン量
でも、別のものは麺用の中力粉並のグルテン量

ですので、国産のパン用小麦粉の場合は、グルテン量に気をつけてパンを作る必要があります。

膨らみ具合食感については、レビューなどを読むと参考になるかと思います。
(『 モチモチ 』などと書かれているものに関しては、グルテン量が少ないと思っておいた方が良いです)


国産のパン用小麦粉のメリット

国産のパン用小麦粉のメリットには、以下のようなものがあります。


外国産のものと比べてポストハーベスト農薬が少ない

輸入には時間がかかるため、輸入作物にはカビが発生しやすいです。

ですので、輸入品は、防かび・防虫処理をするために輸出する前に、ほぼ確実にポストハーベスト農薬を撒きます。
(ポストハーベスト農薬 = 収穫後に撒かれる農薬)

でも、国産のパン用小麦粉の場合、輸送の時間が少ないため、ポストハーベスト農薬が撒かれないか、極めて少なくて済みます。


食感がもちもち

グルテン量が少ない国産小麦粉が多いため、食感がモチモチしています。
ですので、モチモチの食感が好きな人は、国産のパン用小麦粉が向いています。

ふんわりサクサクなパンが好きな人は、外国産のパン用小麦粉か国産小麦粉にグルテンを入れると良いです。



値段がそこそこ

銘柄によっては外国産よりも高いものもありますが、外国産のパン用小麦粉と遜色ないほどの値段の小麦粉もあります。

特に、まだ有名でなく、絶賛売り出し中の新興銘柄のパン用小麦粉や、低価格が売りの銘柄や、ブレンドされた国産小麦粉の値段は安いことが多いです。


安い国産小麦粉

  • まだ有名になっていない銘柄
  • 低価格が売りの銘柄
  • 多品種がブレンドされた銘柄

国産小麦の生産量増加や品種改良の手助けになる

パン用の国産小麦の消費量が伸びると、国内農家がパン用小麦粉を生産しやすくなります。

また、国産小麦の消費量が増えてくると、人気銘柄を生み出せば、お米のように一攫千金の可能性も出てきます。

そうなると、さらに品種改良が進み、国産のパン用小麦粉が美味しくなると、さらに消費量が増えと、良い循環が回り始めます。


平成28年産4麦の収穫量:農林水産省より


内需産業を応援&食料自給率をUP

小麦を輸入すると、輸入相手国にお金を支払います。
でも、国内の小麦粉を買うと、国内の農家にお金を支払います。

つまり、国内でお金が循環しやすくなるのです。



お米を食べる量は減っても、国産小麦を食べることで自給率の低下が防げます。
輸入小麦から国産小麦に切り替わると、食料自給率のアップにも繋がります。


国産のパン用小麦粉のデメリット

国産のパン用小麦粉のデメリットには、以下のようなものがあります。


価格が高いものがある

以前と比べると、国産の小麦粉(強力粉)はかなり価格が低下してきました。

でも、まだ少し価格が高めです。

全体的にもう少し安くなれば、国産の小麦粉(強力粉)はかなり普及するのではないかと思います。
(輸入小麦には高率の関税がかけられています)

日本政府(農水省)が公式サイトで発表している情報によると、国産小麦の値段も、外国産小麦のものとほぼ変わらない程度まで低くなっているものが多いです。

外国産の小麦に近いふわふわサクサクの食感、風味の良い国産のパン用小麦粉でも、かなり安くなってきています。


国内産小麦の産地別銘柄別取引価格の動向より



流通量が少ない

国産のパン用の小麦粉はまだまだ流通量が少ないので、通販だと買いやすいのですが実店舗では買い辛いです。
(小麦の消費量が伸びてくれば、実店舗でも国産小麦が売られるようになると思います)


グルテンが少なく、膨らみにくいものが多い

国産のパン用小麦粉は、外国産のパン用の小麦粉よりもグルテン量の少ないものが多いです。

ですので、国産のパン用小麦粉は膨らみにく、食感がモチモチしています。
(このモチモチが良いと言う人も多いのですが)

グルテン量が少ない国産小麦粉には、使用する水の量を減らしたり、グルテン粉を追加すると膨らみやすいです。


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