春植えの春蒔き小麦と、秋植えの秋蒔き小麦の違いについて

小麦には、春に植えてその年の夏に収穫する『 春蒔き 』の小麦と、前年の秋に植えて、翌年の夏前に収穫してしまう『 秋蒔き 』の小麦があります。



春蒔き小麦

(4月〜5月頃)に種を蒔く
(8月〜9月頃)に収穫する


秋蒔き小麦

前年の秋(9月頃)に種を蒔く
翌年の晩春(7〜8月頃)に収穫する


元々、日本でも小麦は作れたのですが、昔は主に秋蒔き小麦しか作れませんでした。

何故なら、春蒔きの小麦が収穫されるのは夏〜晩夏だったので、日本の大雨の時期蒸し暑い夏を乗り越えにくかったからです。



  • 台風などによる大雨や強い風で小麦が倒れる
  • 雨に濡れて穂から発芽してしまう
    (穂発芽)
  • 雨で小麦の苗が病気になる

しかも、日本の秋蒔きの小麦では、タンパク質(グルテン)の量が少ない小麦しか作れませんでした。

そんなわけで、日本ではパン用の小麦はほとんど作られず、国産の小麦粉の多くが、お菓子などに使われることになりました。


春蒔き小麦

大雨の時期(8〜9月)と重なるので、収穫量が不安定になりやすい


秋蒔き小麦

大雨の時期の前に収穫してしまうため、大雨の影響は受けにくい


日本での小麦生産

  • 春蒔きの品種では、日本の大雨や蒸し暑さを乗り越えられない
  • 秋蒔きの品種が植えられた
  • タンパク質(グルテン)量の少ない小麦しか作れない
  • 麺やお菓子用として使われた
  • パン用小麦は輸入に頼っていた

秋蒔き小麦の秋蒔きの理由

元々、小麦は秋蒔きの植物(翌年の夏収穫)でした。

と言うのも、小麦と言うのは不思議な植物で、冷たさを感じないと穂を出さないからです。

穂と言うのは、小麦の種がワシャワシャと付いている房みたいなものです。

穂が出ないと言うことは、小麦の葉っぱばかりが青々と茂り、全然実がつかないと言うことです。



せっかく、小麦を栽培したのに、穫れるのは青々とした葉っぱばかり。
これでは小麦を栽培している意味がありません。

そのため、普通の小麦は秋に種を植え、冬の寒さに晒して穂を出させ、春の終わりに収穫します。


秋蒔き小麦

  • 本来の小麦の性質そのままの小麦
  • 翌年の7〜8月頃に収穫
  • ヨーロッパ(中南部)やアメリカ(中南部)で多く作られている品種
  • 冬の寒さで穂(種・小麦)を出す
  • 低温状態に置かれないと穂(種・小麦)が出ず、葉っぱばかりが茂ってしまう

秋蒔き小麦の種を蒔く時期

秋蒔き小麦の種を蒔く時期は、地方によって異なります。
南に行けば行くほど、遅くに種を撒きます。

北海道 9月頃
東北 9〜10月頃
関東 11月頃
東海以西 11月〜12月頃

春蒔きの小麦が生まれた理由

春蒔き小麦は、春に種を植え、その年の夏に収穫してしまう小麦のことです。

秋蒔きと比べると、ずいぶんと生育期間が短いです。
半分くらいしかありません。

しかも、秋蒔き小麦と違い、冬の寒さにも晒していません。
それでも、春蒔き小麦は穂を出します。

これは、小麦が品種改良されたからです。
春に植えても穂を出す品種が作られたのです。

なぜ春蒔き小麦が生み出されたのかと言うと、それは寒すぎて越冬できない地域でも、小麦を栽培するためです。



ロシアなどの寒い地域では、とにかく猛烈に寒すぎて小麦が越冬できないのです。
冬の寒さにさらされるどころではなく、冬の寒さを乗り越えられないのです。

ですので、この過酷な冬を避けて小麦を育てられる、春に種を蒔いて、冬が来る前に収穫してしまう春蒔き小麦が品種改良で生み出されたのでした。


春蒔き小麦

  • 低温状態に置かれなくても穂(種・小麦)が出る
  • 寒すぎて越冬できないほどの寒冷地仕様の小麦
  • 4〜5月頃に種を蒔く
  • 8〜9月頃に収穫
  • 前年の9〜10月頃に種を蒔く
  • ヨーロッパ北部・ロシア・アメリカ大陸の北部などで使われている

秋蒔き小麦と春蒔き小麦の収穫量

秋蒔き小麦

秋蒔き小麦は、生育期間が1年ほどあります。
そのため収穫量も多いです。

日本では、大雨(台風)の時期の前に収穫してしまうため、収穫量が安定しやすいです。
そのため、日本では秋蒔き小麦の方が栽培しやすいです。



  • 生育期間が長い
    (10〜11ヶ月)
  • 収穫量が多い
    (生育期間が長い(10〜11ヶ月)ため)
  • 大雨の時期の前に収穫する
  • 大雨の影響を受けにくく、収穫量が安定する
  • グルテン量の少ないモチモチした小麦(品種)

春蒔き小麦

春蒔き小麦は生育期間が半年くらいしかありません。
そのため、収穫量が少ないです。

しかも、日本では春蒔き小麦の収穫時期が大雨(台風)の時期と重なってしまうため、さらに収穫が不安定になりがちです。

日本で春蒔き小麦が作られにくい原因の一つは、ここにあります。



  • 短期間で小麦を収穫量できる
    (生育期間が短い(3〜4ヶ月)ため)
  • 大雨が降る時期(8〜9月)に収穫する
  • 大雨の影響を受けやすく、収穫量が不安定
  • 収穫量が少ない
    (生育期間が短い(3〜4ヶ月)ため)
  • グルテン量の多いフワフワした小麦(品種)

まとめ

春蒔き小麦にも秋蒔き小麦にも特徴があります。

日本には8〜9月頃に大型の台風が来ることが多いため、収穫量が多く、7〜8月上旬までには収穫が済んでしまう秋蒔きの小麦の方が向いています。

でも、秋蒔きの小麦はタンパク質(グルテン)の量が少なく、パンの材料には向かないと言う問題点があります。

ですので、大雨の影響を受けにくいよう品種改良された、タンパク質(グルテン)の量の多い春蒔き小麦が増えることに期待です。

国産小麦をずっと食べ続きてきましたが、国産小麦はモチモチ感があり、ふんわりさが少ないと言う欠点はあるものの(モチモチ感が好きな方はこれがプラスになります)、味と香りは最高だと思いますので、タンパク質(グルテン)量の多いふんわりした小麦粉が栽培されるようになれば、量・質ともに世界でも指折りの高品質の小麦ができるのではないかと思います。


参考文献

コムギの話::2.コムギの栽培-d.秋まきコムギと春まきコムギ-

ゆめちからとは|ゆめちから 北海道生まれの国産小麦|Pasco

農林水産省/特集 麦(5)


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