【糖尿病の罠】 母の蜂窩織炎の治療記録
2015年、病気で半寝たきりになった犬の介護をしている時、母がうちの飼い犬に手を咬まれてしまいました。
うちの犬は、赤血球と血小板が同時に極度に減少する病(エヴァン症候群)を患ったあと、てんかん発作を起こすようになりました。
うちの犬は高齢で、もうすでにCTもMRIも使える年ではなかったため、原因はわからないまま、てんかんを抑えるお薬を飲むようになりました。
(でも、白目の部分の大量の出血や、体にできた大きな出血性のアザからすると、恐らく脳内出血なのではないかと思います)
しかし、その抗てんかん薬を飲んでからと言うものの、うちの犬は感情の制御が難しくなり、不快なことがあると、すぐに噛み付くようになってしまいました。
(うちの犬のエヴァン症候群の理由はリンパ腫で、この4ヶ月後、うちの犬は亡くなりました)
介護中(食事前や下の世話をしている時)、私も何度も咬みつかれ、手からダラダラと血を流すことは多かったのですが、母は一発噛みつかれただけで手がパンパンに腫れてしまいました。
咬みつかれた数時間後には、腕まで腫れ上がってきました。
私も何度も咬みつかれて手に穴が空きましたが(場合によっては、一度空いた所をまた噛まれて、さらに穴が大きくなったこともありました)、多少は手が腫れたものの、母のような異様な腫れ方はしませんでした。
しかも、母は熱を出し始めました。
これはおかしいと思ったので、休日ではありましたが、父が病院に連れて行きました。
蜂窩織炎だった
病院で診察を受けると、母は担当のお医者さんから「 すぐに入院して手術を受けたほうが良い 」と言われました。
手や腕の腫れが尋常じゃなかったのと、熱が出ていたからでした。
でも、母は「 少し考えさせて欲しい 」と言って、家に帰ってきました。
「入院したほうが良いと言われたけど、どうしようか?」
母は不安げな顔をしてそんなふうに言ったので、私は「すぐに入院すべき」と言って、母を入院させることにしました。
母の患った病は『 蜂窩織炎 』です。
蜂窩織炎は、場合によっては死に至る病です。
母のような糖尿病を患っている人は免疫力が低下しているため、蜂窩織炎にかかりやすいようです。
母に行われた治療
まずは、化膿している場所を切開し、徹底的に洗浄と消毒をしました。
その当時の担当のお医者さん曰く、『 骨まで達していると厄介だったが、今回はそれはなかったので、手の機能は回復する可能性が高い 』とのことでした。
(筋肉までは菌が入り込んでいました)
その後、傷口は塞がず開いたままで、毎日毎日、洗浄や消毒を繰り返しました。
しかも、傷口付近の筋肉が縮んで動かなくなってしてしまうのを防ぐため、一日中腕が吊り上げられた状態にされました。
(寝ている間も吊られていた)
それと並行して、全身に散らばった菌を抗生物質の点滴で殺菌していきました。
これは、12時間毎に行われました。
行われたのは、昼と深夜でした。
昼の12時と深夜の12時。
何でそんな時間にやるのかは謎でしたが、毎日その時間に行いました。
一回の点滴は約1時間でした。
それを一日二回も受けなければならなかったため、点滴はかなり辛かったようです。
入院生活
しかも、腕を吊られ続けることに加え、毎日の傷口の消毒、マズイ入院食と、母にとってはとんでもなく苦行な1ヶ月だったようです。
入院中、母が「 うちの犬がまだ重篤な病気を何も患っていなかった時の写真が欲しい 」と言ったので、プリンターでうちの犬の写真をプリントアウトして持っていってあげました。
近年のプリンターと写真用のプリント用紙はよく出来たもので、ほとんど普通の写真と同じ出来の写真がプリントアウトできました。
母は、真正面を向いた可愛い犬の写真が欲しかったようですが、琵琶湖に入っていく写真だの、楽しく駆け回っている写真だのを持っていったので少々不満気でした。
トマトを差し入れ
父は、入院の差し入れで果物かお菓子でも持って行きたかったようですが、食後にインスリンの投与をしているのにお菓子とか甘い果物はどうかと思ったので、庭で栽培中だった完熟のミニトマトをよく洗って乾燥させた後、差し入れすることにしました。
母はおやつなし、デザートなしの入院食の代わりに差し入れたミニトマトを少しずつ食べました。
同じ整形外科の入院部屋の中、デザートなしだったのは母だけでした。
母に与えられた入院食の中にデザートがなかったのは、母が糖尿病を患っていたからです。
その病院の入院食は、どうしたらこんなにまずくなるのかと言うくらい、何もかもまずかったようなのですが、そのマズイ入院食の中で、唯一食べれそうなヨーグルトだのプリンだのの『 デザート 』だったのに、そのデザートが食べられなかったため、母は非常に不満な様子でした。
そもそもどうして蜂窩織炎になってしまったのか
母の治療中、度々問題にされていたのが『 なかなか症状が良くならない 』と言うことでした。
その原因は母の糖尿病にありました。
母はHa1cが7.8以上あり、食後の血糖値も高かったので、炎症や化膿が収まらないかったのです。
そこで、整形外科のお医者さんに加え、内科のお医者さんも治療に参加して、母を治療するすることになりました。
内科のお医者さんが治療に加わってから、母は食後血糖値を必ず計測され、特に食後はインスリンの注射を打たれることになりました。
食後血糖値を測り始めてわかったのですが、うどんやチャーハンなどの炭水化物系の料理が出てきた時には、食後血糖値が爆発的に上がっていました。
(食後血糖値は、普通で120〜140程度、食事によっては200以上になることがありました)
インスリン注射を受けるようになってからと言うもの、母の病状はかなり回復してきました。
やはり、糖尿病が悪さをしていたようでした。
退院後に内科の病院を変えた
そんなこんながあり、結局、母は退院後に内科の病院を変えることになりました。
当時、通院していた病院のお医者さんが糖尿病を抑える薬をジャヌビアに変えてから、Ha1cが 6.5 から 7.8 以上に上昇したのに、そのお医者さんはお薬の量を増やすわけでもなく、ひたすら様子見を続け、免疫力が低下するままになっていた事について、不信感が出てしまったからです。
そこで、内科の病院を変えてお薬について相談した所、「Ha1cが6〜7程度であれば普通はそのまま様子見をするが、7.8は確かに高過ぎるため、お薬(ジャヌビア)の量を増やしてみましょう」と言われました。
肝臓の数値が悪化
変更した直後の内科のお医者さんの元へ検査結果が来た際、あまりの肝臓の悪さに、内科のお医者さんが思わず電話をかけてきました。
抗生物質の大量投与をしたせいで、肝臓の数値が異様に悪かったのです。
母が抗生物質の点滴を毎日2回、大量に投与された件を告げると、そのお医者さんは納得したようでした。
次回の蜂窩織炎治療の通院の際、母が担当の整形外科のお医者さんに肝臓の件を尋ねると、確かに抗生物質で肝臓の数値は悪くなると言われました。
そして、入院前の血液検査では、肝臓には全く異常がなかったことから、恐らく、抗生物質のお薬のせいだと思われるので、少し様子を見ましょうと言う話になりました。
この肝臓の数値は、お医者さんの言う通り、1ヶ月後にはほとんどに普通に戻っていました。
ちなみに、錠剤の抗生物質は退院後も暫くの間飲み続けました。
こちらは弱いお薬だったようで、肝臓の数値は悪くなりませんでした。
手に残った麻痺
うちの犬に噛みつかれた手の方は、若干の後遺症が残りました。
残った後遺症
- 手に力が入らない
- 指が思い通りに動かせない
- ズキズキ痛む
- 傷口付近が腫れている
- 傷口付近が茶色く変色
リハビリをしたり少しずつ家事を行うことで、手の麻痺や指の動きはかなり良くなりました。
(ほぼ普通通り)
リハビリの方法は、指を動かす訓練と、柔らかいボール(テニスボールくらいの大きさ)をクニクニと握ることでした。
この程度の簡単なリハビリでも、手の機能はかなり回復しました。
手のズキズキした感覚は、1ヶ月もしたらとれました。
これら、上記の後遺症は1〜3ヶ月までに改善しました。
でも、手の腫れは、完全に引くまでに1年近くかかりました。
手全体の腫れが引くまでに3ヶ月ほど、そこから1年位かけてゆっくりと手の平の膨れた部分が平たくなっていきました。
整形外科の病院のお医者さんも、かなり時間がかかると言われていたので、この手術とこの病気は、かなり腫れが引くのに時間がかかるもののようです。
てんかん発作で乱暴になる?
母が担当のお医者さんに対して、「うちの犬は、こんなにガブガブ噛む子じゃなかったのに、てんかんを患ってから人が変わったようになった」と言ったときのことです。
そのお医者さんから「 確かに、脳内出血+てんかん+抗てんかん薬が噛み付きの原因になったかもしれない 」と言われました。
飼い犬に咬みつかれ、蜂窩織炎になり、入院までした母を気遣って、お医者さんはそう言ってくれたのかもしれないですが、本当に脳内出血によるてんかんや抗てんかん薬の使用で、感情の制御がしにくくなる可能性はあるのかもしれないです。
半寝たきりの大型犬でも噛み付く力は凄まじいので、てんかん発作やてんかんの治療中の犬を介護する場合は、気をつけた方がよいと思います。
ちなみに、炊事用の厚手のビニール手袋 + 内手袋をしていただけでは、厚手のビニール手袋も内手袋も手もぱっくりと穴が空いてしまいますし(実際、私の手に穴が空いて血が吹き出した)、手ではなく腕を噛みつかれて穴が空いたこともあったため、腕まである革製の分厚いグローブで防御した方がよいかもしれません。
私は、犬に噛まれても少し腫れて血がドバドバ出ただけですが、噛まれた部分のシビレ(左手の親指と人差し指)はかなりの期間残りました。
(半年以上はシビレていたと思います)
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